利用者・家族との「接し方」(4)


◎真摯な取り組みと情報共有を心がける

利用者、家族と良好な関係を築くためには、利用者やその家族とやりとりした内容などの情報も施設の職員全体で共有することが、重要となります。その上で、上司や施設長などと話し合って対応策を決めていくべきでしょう。

◎情報の共有がトラブル回避の第一歩!

介護職員によって返答の内容や利用者への接し方がばらばらだと、不信感はさらに増し、事態が収まるどころか、より深刻な問題へと発展してしまうかもしれません。逆に、きちんと情報共有がなされ、皆が一丸となって改善に取り組んでいる姿勢があれば、納得してもらえます。情報を共有するための方法として、“連絡ノート“を取り入れる。この連絡ノートに利用者の状態やクレームへの対応策などを記入すれば、次にその利用者を担当する介護職員に何があったかを知らせることができます。さらに、朝礼や申し送りの時間を使ってクレームを周知することができます。また、職員間だけではなく、ケアマネージャーや相談員にもトラブルの内容を伝えます。家族とケアマネージャーの面談時に家族がクレーム内容について話題にしたとき、ケアマネージャーが事情を知っていれば、家族に安心感を与えることができます。これは、利用者との円滑なコミュニケーションやよりよい自立支援のためにも大いに役立つ手法です。利用者と介護職員は、一対一の関係だけではありません利用者一人ひとりを、施設の職員全員で支援していくという心構えを持つことが大切です。

◎怒られてしまった場合の謝り方

ときとして、利用者や家族が怒り出す場面があります。その際は、怒りを鎮めなければなりませんが、安易に謝っても後々大きなトラブルになってしまうこともあります。なぜなら、「すみません」という謝罪の言葉だけでは、一体何に対しての謝罪なのか分からないため、逆に相手の怒りを買ってしまう危険性があるからです。そのため、全体的な事実関係がはっきりしない段階では、ただ「すみません」というのではなく、「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」「気分を害してしまったようで申し訳ございません」と怒りを招いたことに対する限定的な謝罪をします。その一方、怒りの原因が明らかになっていて、こちらに落ち度がある場合は「大変申し訳ございません」「大変失礼いたしました」と全面的な謝罪をします。ここで対応のしかたを間違えてしまうと、いつまでも怒りが静まらないばかりか、二次的なクレームを招く恐れもあります。