利用者・家族との「接し方」(1)
介護職員にとって必要なのは、介護の技術を身につけることだけではありません。利用者との関係、利用者の家族との関係、職員同士の関係…。人と人とのかかわりが大きい介護の現場だからこそ、トラブルが起こらないように、よい人間関係を構築することが非常に重要です。
◎利用者からの暴力、トラブルも悩みの種
介護の現場において、利用者とのトラブルは避けて通れない部分があります。しかし、介護はあくまでも「サービス」です。利用者による暴言や暴力などの問題行動や理不尽なクレームがあっても我慢して受け入れるほかなく、疲弊してしまう介護職員も多くいます。利用者の中には、認知症の周辺症状によって暴力的になる人もおり、「靴下をはいてもらおうとしたら殴られた」「車いすへの移乗の介助をしていたら噛みつかれた」「食事中、箸でつつかれた」などということがあります。介護のしかたで周辺症状が軽減できることもあります。利用者の発言・行動を否定せずに受けとめ、利用者とコミュニケーションをとりながら介護することで、利用者の症状が落ち着くのです。入浴や排泄などの介護の際にはトラブルを軽減するため、2人1組で介護をすることが有効でしょう。
◎利用者同士のトラブルや、パワハラ・セクハラも・・・
介護現場では利用者同士のいさかいが起こり、それを仲裁しようとした介護職員に矛先が向けられるケースもよくあります。口頭で注意したところ、逆上し、クレームになってしまったケースも多くあります。また、介護の現場で問題視されていることのひとつに「パワハラ・セクハラ問題」もあります。介護の現場では入浴や排泄の介助など、利用者と介護職員で身体を密着させなければならない場面が多く、利用者が誤解してしまうことがあります。しかも、こうした問題は女性職員だけの問題ではありません。男性職員が女性の利用者から言い寄られる場合もあります。うまく受け流すことができればよいのですが、積み重なると介護職員にとって精神的なストレスになることは間違いありません。利用者や家族を敵に回すように感じ、報告しづらいものですが、何かあったときには上司に相談することが重要です。入浴や排泄の際は利用者と同性の職員が対応するなど、さまざまな対応策があります。