1.介護職の平均給料はいくら?
福祉施設介護員(全体)22万6300円。そのうち、男性が23万9100円、女性が21万9200円で、額面が21~23万円であれば、手取りは20万円を下回ると思います。税金を引かれた後の介護職の給料は悲惨です。「きつい、汚い、危険」は努力・慣れ・工夫によって改善の余地がありますが、給料が安いのはどうしようもありません。情報として福祉施設介護員(全体)の平均給料の推移も紹介します。
平成24年 | 206300円 |
平成25年 | 205700円 |
平成26年 | 207800円 |
平成27年 | 210400円 |
平成28年 | 215200円 |
平成29年 | 219900円 |
(過去の賃金構造基本統計調査より抜粋しました)
しかし、介護職の給料は安いといいながらも、以前と比べると給料水準は上がっています。そして、介護福祉士の処遇改善は少しずつ実現されていますし、議案として話し合いもされているので、今後の動向に期待しましょう。
2.介護職の手取り給料はいくら?
およそですが、額面の約80%が手取りとして手元に入ってくると言われています。福祉施設介護員(全体)の平均給料が22万6300円なので226300×0.8=181040と計算できます。福祉施設介護員の手取り約18万1040円福祉施設介護員の手取り給料から年収を計算すると181040×12=2172480(+ボーナス)なので、福祉施設介護員の平均手取り年収は260万くらいです。手取り年収が300万円に届かない介護職の現状をかなり厳しいと思います。医療・福祉の世界は「患者さんのために」というのがモットーですが、それだけでは医療福祉職は生きていけません。仕事が無償となれば、ほとんどの医療・福祉関係者は仕事を辞めるでしょう。
3.介護職の年代別の給料は?
介護職の年代別給料を紹介します。
男性 | 女性 | |
20~24歳 | 204500円 | 206500円 |
25~29歳 | 226800円 | 221000円 |
30~34歳 | 242200円 | 222900円 |
35~39歳 | 252200円 | 225000円 |
40~44歳 | 256900円 | 225400円 |
45~49歳 | 260500円 | 225400円 |
50~54歳 | 244600円 | 219800円 |
男性のピークは45~49歳の26万500円であり、女性のピークは40~49歳の22万5400円です。男性だとピーク時の金額で手取り20万円にギリギリ到達しますが、女性の場合は絶望的だと思われます。そして、20~24歳の間は男性で20万4500円、女性で20万6500円と、かなり苦しい給料に悩まされます。
4.介護職の経験年数別の給料は?
福祉施設介護員の経験年数別の平均給料を紹介します。
経験年数 | 男性 | 女性 |
1~4年 | 214900円 | 204900円 |
5~9年 | 236800円 | 215900円 |
10~14年 | 257400円 | 225600円 |
15年以上 | 283200円 | 242500円 |
これを見ると昇給は1000~3000円くらいだと思います。介護職を続けるかぎり、安い給料との長い戦いです。しかし、最近では国から介護職員の処遇改善を目的とした議決案が提出されています。それは「勤続年数10年以上の介護福祉士は月額8万円相当の処遇改善を行う」というもの。月額8万円はかなり大きいです。実現すればリハビリ職の給料を簡単に超えるでしょう。私の職場の介護職は「本当に実現するの?あまり期待できない」と疑いの声が多かったですが、実現すれば介護業界の追い風になること間違いなしです。
5.介護職の平均ボーナスはいくら?
福祉施設介護員の平均ボーナスを紹介します。
介護職全体 | 男性 | 女性 |
519900円 | 579000円 | 487000円 |
医療・福祉職ではホームヘルパーに次いで少ないボーナスです。介護職のボーナスは給料の2~2.5か月分くらいでしょうか。ただ、職場によっては介護職のボーナスカットやボーナスダウンはあるみたいです。潰れているデーサービスは多いので、需要の多い介護職だからといって安心はできません。今のご時世、ボーナスが貰えるだけでありがたいかもしれません。
6.介護職の給料が安い原因とは?専門性が上がれば給料も上がる!
介護職の給料が安い原因は専門性の低さにあると思います。医師は診断・処方・手術など、医療の中心的な役割として大きな専門性をもっています。看護師は医師の補助・医療処置・採血など、医療・福祉に欠かせない専門性をもっています。薬剤師は薬剤の調合・供給など、薬物治療になくてはならない専門性をもっています。放射線技師は放射線を用いた検査・治療など、他職種にはない専門性をもっています。リハビリ職はリハビリの視点で行う評価・治療など、生活の質の向上に必要不可欠な専門性をもっています。では、介護職はどうでしょうか?ズバリ、介護職にも専門性はあります。患者さんに負担をかけない介助方法、病気にあわせたコミュニケーションスキルなど、介護に必要な専門的知識・技術はあります。しかし、介護職の専門性は他職種にも再現しやすいのです。介護職の専門性である介助方法やコミュニケーションはリハビリ職や看護師も仕事で使用します。極端にいうと、自宅で介護をしているご家族も使用しているでしょう。つまり、介護職の専門性はあることはありますが、再現性が高い(専門性が低い)のです。看護師の業務をリハビリ職は絶対にできません。薬剤師の業務をリハビリ職は絶対にできません。リハビリ職の業務を看護師・薬剤師はできません。なぜなら、それぞれの職種に専門性があって、簡単には再現できないからです(そもそも法律で決められている)ですが、介護職の業務は看護師・リハビリ職・薬剤師がやろうと思えばできます。資格のない人が看護助手として働くことができるのですから、医療・福祉の有資格者にもできるはずです。専門性が高いということはそれだけ価値も高くなります(実際は需要がないといけませんが)高い専門性は誰にでも真似できるものではなく、所有者が少ない分だけ希少価値が高いのです。ダイヤモンドが高いのは希少価値が高いから。ダイヤモンドが日本中の山々から採掘できれば、価値はほとんどなくなるでしょう。言い方は悪いですが、介護職は専門性が低いので、日本中の山々から採掘できる状態なのです。だから、介護職が給料を上げるためには、自分の専門性を上げて、珍しいダイヤモンドになるしかありません。
7.介護職の給料に不満を感じた方へ
この記事をここまで読んで「介護職の給料が安い」という事実を理解していただけたと思います。介護の仕事は色々とつらいですが、一番つらいのは給料の安さです。私の職場では介護職の愚痴といえば給料についてがほとんど。ただ、給料の愚痴を聞いていて思うのが、「ほとんどの人が愚痴を言うだけで何も行動しない」ということです。「給料が安い」と嘆くだけでは給料が上がりません。あなたが行動しないかぎり、給料は安いままです。
8.転職する
介護職の給料が不満なら転職すればいいのです。介護の仕事にこだわる必要はありません。私の知り合いには介護から美容関係の仕事に転職した人もいますし、普通のサラリーマンをしている人もいます。ちなみに、医療・福祉の業界で介護職として働いても、貰える給料には限界があります。月50万円とか、月100万円とか、夢のような給料は介護職では絶対に無理です。なぜなら、国からの医療・介護報酬が決まっているから。介護職の給料の大元は国からの報酬です。病院・施設が国から報酬をもらい、それを職員に給料として分配します。国からの報酬以上の給料を介護職員に渡すと施設経営が破たんしてしまうので、介護報酬が決まっているかぎり、介護職の給料の上限はなくなりません。
9.キャリアアップ
介護人材の処遇改善によって、勤続10年以上の介護福祉士に月8万円相当の賃上げがされるかもしれません。今からキャリアアップを図ることで将来の給料アップにつながるのです。今から介護の世界に飛び込む人は介護福祉士を取るべきでしょう。介護職員初任者研修修了者(ホームヘルパー2級取得者)は介護福祉士へのキャリアアップを目指すべきです。介護福祉士の給料が月8万円アップしたら、リハビリ職の給料なんて簡単に超えますよ\(^o^)/